*映画の内容に関するネタバレを含みます。
*一部省略しつつ訳しています。映像と併せてどうぞ。
いま、キム・ソンス監督が楽しかったとおっしゃるとき、チョン・ウソン俳優とチョン・マンシク俳優の表情に…陰りが差すのが見えました。そのシーンを撮るとき、どうでしたか?
マンシク:私はそこで…最後のシーンで、いろんな暴力が繰り広げられるとき、私はアクションが多くありませんでしたから。それを撮るとき、撮影監督が何度もお話されたことを覚えています。あの方は釜山の方ですが…
イ・モゲ撮影監督ですね? / ええ。イ・モゲ撮影監督が… / 撮影の神が。
マンシク:(釜山訛りで)「なあ、マンシク。俺、暴力映画が嫌いだ。(一同笑)嫌すぎる。怖くてたまらん。この雰囲気はもう嫌だ」…と言ったんです。それを思い出します。
監督:本当にイ・モゲがそんなことを言ったのか?
ショックを受けておられる…
マンシク:はい。そして、訪ねるたびに見せてくださる…後半部へ向かっていく完成前の画たちを見ながら…苦労されただろうな…と…そんな記憶ばかりです。
そのシーンで…現場で一番苦労されてそうなのがチョン・ウソンさんですが…
ウソン:私は暴力よりも、監督のことが嫌いでした。
監督が嫌いです…
ウソン:監督が嫌いでした。早く死にたかったです。
『アシュラ』は悪人たちの世界でしょう?悪人の中の悪人は監督だったのですね。一番の悪党。/ 監督が嫌いだったと告白されましたが、キム・ソンス監督とチョン・ウソン俳優は4回目の共同作業でしたっけ?現場でお二人の息がぴったり合っていたのではないかと思うのですが…
ウソン:やるたびに嫌いでした。
そんなに嫌いなのになぜ4本も…
ウソン:妙な感情でして…中毒性があるようです。現場であの嫌いな人間に会いたいと思わせる、何かの…
キム・ソンス監督、顔が真っ赤ですが、何か復讐の一言を飛ばしてください。
監督:私は映画を上手く撮れるわけではありませんが…一緒に作る人にとって難しい、撮影が大変な作品を撮っていまして、その中でもチョン・ウソンさんを一番苦しめた映画だったと思います。そろそろ関係が修復できたと思っていたのですが、未だに…チョン・ウソンさんは思ったより心が狭いですね。しかし、チョン・ウソンさんを本当にたくさん苦しめましたので、申し訳なく思っています。
ウソン:関係の修復は双方の努力が必要なのであり、片方だけが定義したからと修復できるわけではないのです。
まるで「愛と戦争」のワンシーンを見ているような… / 次にまた一緒にやろうと言われましたら…チョン・ウソン俳優は…引き受けますか?
ウソン:中毒性があると申し上げましたが? / もはや抜け出せないのですね…
私が「アスリアン」と呼ばれるツイッターユーザーの方々から個人的に質問を受け付けましたが、その中に面白い質問がありました。ト・チャンハク…つまりチョン・マンシクさんが演じるト・チャンハクが、ドギョンにだけ、悪口を言うときに「この野郎」と言わず「このアマ」と言っている。そこに何か特別な理由があるのかを…
マンシク:男同士で言う悪口の中で…最も低俗で、最も低劣で…一番見下す言葉だと…そう私は解釈しました。
マンシク:だってクズだから。
映画では最高のライバルでしたよね?
ウソン:気づきませんでしたね。悪口にそんな意味が…
マンシク:書いてあったもので、そんな意図だろうと思ってやりました。
台本にそう書いてあったんですか?
マンシク:もちろんです。…私はとても…そこまでのアイデアは持っていません。
キム・ソンス監督に釈明を求めたいと思います。
監督:悪口というものは男性の間では…特に『アシュラ』のような場合は、男たちが互いに序列を、階級を表しながら「俺がお前より上だ」ということを強調し、確認させ、それを覆すといったような、一種の…男同士の力比べのような内容ですから…そこで女を指す悪口を言うと、相手に強い侮蔑感を与え、相手をより刺激する言い方だと思いました。
ト・チャンハクは、実は、この映画では比較的、まともな思考をしている人のようにも思えますが、それでも彼も結局、悪の下手人として働いているのですから、自らの役目をしっかり果たすために、一筋縄ではいかなさそうな刑事に対して、何とか機先を制しようと、あえてそのような言葉を選択して使ったのだと考えました。
ようやく明快に理解できた気がします。Vアプリのコメントを読んでくれないと皆さんがお怒りですので、コメントの中から質問を一つ選びますと…○○さんから、チョン・ウソンさんへの質問です。暗すぎるキャラクターを演じたせいで、実生活に影響があったのではないか、映画を撮ってから後遺症のようなものはなかったのか気になります。
ウソン:幸いなことに、『アシュラ』が終わって『ザ・キング』という作品の撮影が続きました。その撮影を終えて、再び『アシュラ』の後半作業の場に戻ったのですが、ああ…もし『ザ・キング』の撮影がなかったら、本当に大変だったろうな。と思わされました。抜け出すのが大変な…感情に入り込んでいましたので…それが後半作業をするうちにこみ上げてきたことを覚えています。
今は大丈夫なんですね?
ウソン:今は大丈夫です。監督との関係も、修復できたと申し上げることができそうです。
でも、こうしてまた集まると、以前の嫌な、苦しい記憶が甦ってきませんか?
ウソン:そんなことはありません。度量が狭い方のようですね。
マンシク:私たちはいつも楽しいです。
キム・ソンス監督がアフターケアを行うべきでは?メンタルに負った傷に対して…
監督:この空の下に傷を負っていない魂がいるでしょうか…俳優をやっていると…チョン・ウソンさんはこれまで素敵で、良い役を多く演じましたので、『アシュラ』のように傷だらけで、物乞いの犬のような役を務めたことが…やってもらうときはチョン・ウソンさんに感謝を覚え、苦しめたりして申し訳ないと思ったのですが、今はまあ…チョン・ウソンさんも一味違う演技ができてよかったのではないかと思っています。…次はあんな…ものとは違う役を差し上げようと努力しています。
実は『アシュラ』は、キャスティングから反則だと言われるほど超豪華キャスティング…演技の神々が集ったので大変期待されてましたね。それが、いざ公開されると、ある観客は「何だこれは、期待を裏切られた」とすら話しました。
監督:こんなに良い俳優を揃えて、映画をダメにした監督は誰だ。という感想が多かったですね。
ウソン:まず、「無限挑戦」に出演してふざけすぎました。公開前に…
マンシク:俺は余計なことは言ってない。黙ってたぞ。
ウソン:大概にふざけるべきだったと思います。そうやって映画のトーンを…前置きしておくべきだったのですが…
おそらく皆さんは、既存の映画的言語、皆さんにとって快適なストーリー構成ではなく、すべてがねじれいていくではありませんか。次はこうなるだろうという予想を許さない結末へと突き抜ける映画だったので…最初は当惑されたように思います。
長い目で観ていくと、この映画がなぜそんなやり方を取ったのか、そしてこの映画が持つ意味が何か、去年と、今の時期における意味を、十分感じ取っていただけると思います。
マンシク:アンナム市に存在する男たちは、一人として親切ではありません。言うこともそうですし。そのために物語の展開も決して親切ではありません。私達は、不親切に努めようとしていたように思います。そんな心がけで突き進んだように思います。
高度の戦略、不親切。/ マンシク:高度…とまでは…(笑)
― 期待を裏切ったという評価に対するPMの意見 ― (省略)
PM:…それをスター俳優を連れて撮ったということに驚きましたし、それから、映画は劇場公開だけで終わるわけではありません。こういう話を製作者が耳にすると気を悪くされると思いますが…
いま製作者のハン・ジェドクさんもこちらに…
PM:あの方も気持ちがかなり解れたように思います。公開当時には違っていた気がするんですが…(笑)作品として、映画は一度上映すると終わるというわけではないですから。私から見ると十分に、2010年代の映画の中で、最も高い評価を受けながら生き延びるのではないかと思っています。
特にこの映画『アシュラ』は、先ほどから私がアスリアン、アスリアンと言っていますが…マニア層、本当に分厚いマニア層を持つようになりましたが、キム・ソンス監督は、このようなマニア層が生まれた理由は何だと思われますか?
チョン・ウソンさんもシナリオが少し変だと言ってましたが、チョン・ウソンさんとの長い親交を頼りに、縋るようにしてキャスティングしましたし、残りの4人の男の華麗なキャスティングは、実はあちらにいるハン・ジェドク代表が…サナイ・ピクチャーズのハン・ジェドク代表というと映画界では飛ぶ鳥も落とす…特に男性俳優のキャスティング力が凄まじい方ですが… / キャスティングの神。/ キャスティングの神です。はい。
ハン・ジェドク代表が、このように素晴らしい俳優達を連れてきてくださいました。それで、一方では、キャスティングがこんなに上手くいったので、妻も「あなた、こんな良い俳優が揃ったなら、シナリオを書き直しなさい」と言いましたが、一方では、ああ、私が、こんなに良い俳優を連れて、本当に望む映画を撮る機会は、生涯に一度きりではないだろうか、という考えがよぎりました。それで、シラを切って、図々しくこうして、望むままに撮りました。
この華麗なキャスティングを、とことん追い詰めて、皆殺しにすることが目標でしたからね。
監督:その快感は凄まじかったですね。(笑)
チョン・ウソンさん、キム・ソンス監督がシナリオを見せたとき、「シナリオが変だ」とおっしゃったという話は本当ですか?
ウソン:ハン・ドギョンって可笑しいでしょう?(一同笑)
ハン・ドギョンは確かに可笑しいですね。
ウソン:あるのはストレスのみ、良いところがありません。私にどうしろというのやら。何をすべきだろう。このテキストの裏に隠れているものは何なんだ。だいぶ探しました。
ウソン:見つからなかった気がします。(一同笑)迷走ばかりして終わり、迷走ばかりして殺しましたね。
映画の中で、悪口をお言いになるでしょう。象徴的な悪口を。放送なのでそのまま言うのは憚れますが。その悪口すらも私には何だかぎこちなく聞こえました。それはもしかして意図されたのですか?
ウソン:私は、悪口がぎこちないんですよ。 / 元々悪口がお上手ではない… / 私の悪口がぎこちないという…「悪口に対する評価」を受けることになりましたが、面白かったですね。ああ、悪口も練習が必要なのだなと。 / 日頃から悪口を言うようにしてください。
いまVLIVEをご覧になっている皆さんの中に、チョン・ウソンさん、一度「食パン」と言ってください。という…(注:悪口と発音が似てる単語として半ば無理やり当てているのであり、一般的に悪口を連想させる単語ではありません)
ウソン:シッパーン!!
LIVEで鑑賞すると快感がありますね。/ 今はやや自然になってるように思います。悪口をたくさん練習されたようですね。
ウソン:私はですね、舞台挨拶を回りながら悪口ばかり言ったんですよ。(一同爆笑)練習しよう練習しようと思いながら…
マンシク:舞台挨拶のとき、立ち上がったとたん「シィ…今から始めるぞ」と、一日中…
17.04.29 第18回 全州国際映画祭 VLIVE(生中継)[3/4]へつづきます。