2017年10月10日火曜日

17.04.29 第18回 全州国際映画祭 VLIVE(生中継)[4/4]

17.04.29 第18回 全州国際映画祭 VLIVE(生中継)[3/4]よりつづきます。

*映画の内容に関するネタバレを含みます。
*一部省略しつつ訳しています。映像と併せてどうぞ。

監督:実は映画を作るとき、アンナム市という空間を…昔のフィルムノワール映画を観ると、そんな闇の世界が広がりそうな空間に映画の舞台を限定させるでしょう?そのようにアンナム市という空間を作り、その空間を通じて映画が意味していることが伝わることを願いましたが、アンナムの話をたくさんしてくださって、有難がったですね。それであれを完成させることになりました。

アンナム市というブランドが目覚しい成長を遂げましたので、次の作品でも活用してもよさそうな気がします。アンナムを背景に… / でも外国が舞台だと… / ウソン:人口が増加し続けている気がします。/ ありとあらゆるものが出来てますものね。

では、二人の俳優の方々に質問です。撮影現場であったことを、以前にも色々と語ってくださっていますが、未だに話していない撮影場でのエピソードがあるなら、お話いただけますか?/ 辛かった話ではなく、楽しかった… / 今回は明るかった記憶でも良いかと…

ウソン:私は撮影中ずっと楽しかったです。実は…キム・ソンス監督と久しぶりに現場で…また仕事ができるということが…初めての撮影時のことも思い出しますし…常に一緒に仕事がしたいと切に願っていましたが、気がつくと15年という時が流れていて…再び現場で会った監督の映画に対する愛情と情熱、エネルギーは変わっていないことを再確認できたとき、改めて後輩として学ぶことがありました。ですから、特定のシーンが記憶に残っているというよりは、『アシュラ』そのものが私には大きなエピソードであり、とても大きな、意味深い記憶です。

どうもこの放送が、感動的な流れに舵を切りそうな予感がしますが…

監督:ウソンさんが一番嬉しそうに笑った日がありましたね。

ウソン:(監督の)脚が折れた日…(一同笑)とても胸が痛むのに、笑いがこみ上げてきたんですよ。現場であまりにも、俳優同士を仲違いさせて、演じるごとに本心から相手を憎むように仕向けることを本当に楽しんでおられますから。悪ガキのように。

マンシク:私のところにいらっしゃいまして、「マンシク、お前なら……ウソンに勝てると思うけどな?」(一同笑)「勝てると思うよ?お前ほどの肩幅…お前ほどの拳なら、
ウソンに勝てるんじゃないか?」
「監督、リーチが違うでしょ。長さが違いますよ」といったやり取りを…

それとなくそそのかして、殴るシーンに実感を込めようと…


ウソン:ところがある日、監督が脚をポキッと折っていたんです。あまりにも胸が痛くて、愉快な笑いが… 

車椅子に座って演出なさったんですよね。

ウソン:その電動車椅子を…カーチェイスのシーンがあるじゃないですか。道路の一つの区画を封鎖して撮影したのですが、雨も降らせるでしょう。気が急いているから進みたくて、撮影現場に来たくて最大速度で必死に動かしてるのに、電動車椅子はこうしてじりじりと進みます。(一同笑)雨が降ってるので傘も一本差してましたし。…本当に愉快な撮影でした。


そのカーチェイスシーンは有名ですが、車がまっすぐ突進しているそばで、電動車椅子も突進していたわけですね。/ おそらく時速7kmほどの速度で… / お話を伺っただけでも、実に和気あいあいとした撮影現場だったことが分かります。脚を折ったことを喜んだり…

マンシク:撮影時だけではありません。私の場合、撮影がすべて終わり、1年という時間が経ったのですが、最近もそうです。同年代、後輩達、年上の助演達が、『アシュラ』に出演したことについてとても羨ましがり、未だに話をしてきます。話の途中で、「お前はアシュラをやっただろう」と怒ることがあります。それが私は嬉しいです。(笑)

いま撮影現場の話をしてくださいましたが、さらに質問が上がってきています。撮影中に、俳優同士の息が一番ぴったり合ったシーンはいつだったのか…

ウソン:葬式場で…初めて一堂に会するわけですから、そのとき…すごく、よかったですね。

マンシク:妙な気分でした。5人が立っているのですが、いや~このために数ヶ月を経てきたのだな…

ウソン:私は個別に会っているでしょう。劇中でずっとあの人、この人の相手をし、嘘を吐いたり…それが一箇所に集まると本当に嫌気が差しました。(笑)

マンシク:そこは葬式場でしょう?死んだ人はそこに写真がかかることになるはずですが、全員がかかることに…

アンナムの互助会はあの後、大忙しだったろうと思ったりしましたね。

監督:私がこの映画を撮るときに、初めて演出の方式において、すべてのシーンをリハーサルをしてから撮りました。リハーサルをやるからこそ撮影前に、メイクを施す前に俳優達が集まって、一緒に演劇をやるように話し合い、リハーサルをし、動線を作り、その後に現場で即興的にカメラをセットして撮影をしたのですが、葬式場で5人が集まるシーンを撮ったその日は…私の生涯においても記憶に残る…なぜなら、とても興奮しましたし、俳優達も、すべてのスタッフも、この5人が集まって、ここから殺戮戦を繰り広げるために集まったということを皆承知していましたので…あの5人が集まった日が最もスリルに満ちた日だったように思います。

PMが『アシュラ』の撮影方式の特異性と、第18回全州国際映画祭の
スローガンである「映画表現の解放区」の意味について説明(省略)

俳優の方々にも、全州映画祭、映画表現の解放区というスローガンに対して、個人的な見解を伺ってもよろしいですか?

ウソン:良いですね。(一同笑)今でこそ新時代が開くだろうという希望を持てますが、前の私達の時代、私達が住んでいた環境は、そういった表現における自由が、不自然な境遇に置かれていた時代だったという反証でもありますので。文学や映画や芸術面においては、取り分け表現における自由が大事ですので、良いスローガンだと思っています。


マンシク:私も気に入っています。都市を新たに作るとき、建物をよく壊しますが、建物ではなく意識を一旦壊してこそ、新しい都市が作られるだろうと思います。

監督:その表現を来る途中で目にしましたが、とても気に入りました。映画が生まれるとき、映画が完成して披露されるとき、その映画の真の姿が現れるわけですが、実は、上映システムの中に入ると、映画は何らかの事実に縛られてしまうところがあります。

しかし映画祭という場所は、映画が映画自身を目的として披露される、とても自由な場所といえます。映画祭では、普通の映画が歩むべき世俗的な成功への負担がないわけでしょう?それに縛られない映画に対して機会を与える場所ですから。映画祭に相応しい表現ですし、全州映画祭が最近までやってきたことと合致します。素敵な表現だと思います。

VLIVEは時間制限がありませんので、いつまでもやりたいところですが、俳優達と監督は次のスケジュールがあるために、ここで終わるしかなく残念です。Naver VLIVE 視聴者の皆さんに対して、一人ずつ挨拶をお願いします。

ウソン:Naver VLIVE 視聴者の皆さん、こうして楽しい時間を一緒に過ごして下さってありがとうございます。全州映画祭を最後まで応援してください。ありがとうございます。

マンシク:こうしてNaverをご覧になることも良いですが、全州にいらして、映画を一緒に楽しめるとさらに美しいと思います。そういった積極的な気持ちで、(5月9日に控える大統領選挙の)投票も積極的にして頂けると幸いです。ありがとうございます。


監督:全州映画祭に来られて嬉しいですし、このような場を借りて『アシュラ』についてまた話す機会を得られて、とても幸せでした。ありがとうございます。


PM:キム・ソンス監督が先ほど振り込んでくださるとおっしゃいましたが、今のお話でディスカウントを…料金はチャラにいたしましょう。(笑)ありがたいお言葉をいただいたので…全州国際映画祭はここ数年間発展を続けてきましたが、主催側が言ったのではなく私から見て、今年が最も盛り上がってるように思います。今日、外に出ると凄まじい熱気を浴びると思いますが、『アシュラ』にそれを焚き付けていただければと思います。残り期間中も、全州映画祭では良い映画をたくさん上映していますので、観客の皆さんが多く鑑賞してくださることを願います。ありがとうございます。

コメントが多すぎて紹介しきれなかったのですが、俳優の方々に一つずつお願いをしたいと思います。まずチョン・ウソン俳優には、「パク・ソンベ前に出ろ」を一度言って欲しいという意見が最も多かったです。(注:劇中では「外に出ろ」だが、ファン主催上映会でパロディーした台詞と混ざっている)それからチョン・マンシク俳優には、「何見てんだ。(そんなに)イケメンか?」と言ってほしいという意見が最も多かったです。一度ずつ、お願いいたします。

ウソン:パク・ソンベ 前に出て来い!

マンシク:何見てんだ。(そんなに)イケメンか?


本当に楽しかったです。『アシュラ』の皆さんとキム・ヨンジン首席プログラマーと過ごした時間は、以上をもって終了いたします。本日はありがとうございました。





映画が公開する頃に監督が、『アシュラ』をみにくいアヒルの子のような作品だと話したことを覚えています。 『アシュラ』が最初にどんな姿で皆さんの元を訪れたか分かりませんが、『アシュラ』という映画には、時代に当てた確かな意味があると思っています。そのみにくいアヒルの子が、今は皆さんの愛によって素晴らしい白鳥になりつつあるようです。心から感謝申し上げます。 (同日 野外トークステージでチョン・ウソン談)

「俳優の皆さんにとって《アシュラ》とは?」
「結婚をしたのと同じように、この選択をしてよかった。
 選択してもらえて幸運だった。と思う作品です」
(同日 ドーム上映前の舞台挨拶でチョン・マンシク談)